ビットコインの資産価値

あなたは突然、大金を手に入れました。
出来れば大金を元手に、資産運用したいと考えます。今、市場には金融商品が溢れています。株、投資信託、商品先物、金、国債などなど・・・。
そんな中、昨年から今年にかけて、ある言葉が投資家の間でもてはやされ始めました。
「ビットコイン」
仮想通貨、あるいは暗号通貨と呼ばれるものの一種です。
運用手段として、ビットコインを薦められたあなたは、戸惑います。
「せっかく手にした大金だ。増やしたいのは山々だが、リスキーな商品に手を出して大損したんでは、元も子もないよ。」
2016年10月には、60,000円台を推移していたビットコインの対円価格は、2017年7月10日には、288,537円を付け、1年足らずの間に実に、4.8倍にもなっています。ボラティリティ(価格変動性)の高さからすると、投機対象としては面白みもあるでしょうが、いざ大金を全てビットコインに替えて、日本円の代わりに安心して所有することが出来るか、というと、二の足を踏む人たちがほとんどではないでしょうか。
今のところ、ビットコインを代表とする仮想通貨を「安全資産」と捉える向きは、皆無と言えるでしょう。この稿では、仮想通貨の資産価値としての側面にスポットを当てます。

ビットコインの信頼性

アメリカドル、日本円など、一国によって価値を保障された、決済のための価値交換媒体を法定通貨と呼びます。この法定通貨の、カウンターパート的な存在が仮想通貨です。
この仮想通貨について、法定通貨との対比で説明します。
法定通貨であるアメリカドルは、連邦準備制度理事会(FRB)という中央銀行が、日本円は日本銀行が通貨発行の役割を担っています。それに対して仮想通貨には、発行主体が存在しません。通貨発行並びに管理について、一国が関与している訳ではありません。
特定の国・地域が発行・管理していないので、世界中どこでも使用出来る、「世界共通通貨」としての性格を備えることになります。
通貨が貨幣としての価値を保つのは、確固たる国の後ろ盾があってこそです。国力が低下すれば、通貨としての信用も下がる事になるのです。
では、発行主体を持たない仮想通貨において、通貨としての安全性や信頼性は、どのように担保されるのでしょうか。それを説明するには、「ブロックチェーン」という技術の存在が欠かせません。
ブロックチェーンは、ビットの創始者、サトシ・ナカモト氏が考案したテクノロジーです。詳しくは、「ビットコイン ブロックチェーン」の稿をご覧ください。世界中のコンピュータネット上に、ビットコインの全ての取り引きデータが保存され、絶えず不特定多数の人物に精査・監査が行われています。これにより、仮に取引に不正や偽装があっても、直ちに発見されるため、情報の改ざんなども不可能とされ、安全性が極めて高いと言われる所以です。
法定通貨は、銀行などが設置するサーバーがデータを管理しています。これを中央集権型システムと言いますが、仮想通貨は、ブロックチェーン技術により、データを分散して管理するため、「分散型台帳」とも呼ばれています。

通貨としての機能である、「決済」、「投資」、「送金」としての側面が、仮想通貨においても再認識され始めています。これは法定通貨においても言える事ですが、決済手段として、あるいは投資対象として認知されるには、一定以上の利用者がいることが最低条件と言えます。2015年10月の統計資料ですが、世界におけるビットコインの一日の取引量は、約15万件。USドル換算では、一日に8,000万ドルに昇ります。通貨としての資産価値が認められる素養は、十分にあるでしょう。

2016年5月25日、参議院本会議において、「改正資金決済法」が成立し、2017年4月1日に施行されました。通称、「仮想通貨法」と呼ばれる同法案では、仮想通貨の取り扱いや、仮想通貨業者の登録制、監督官庁などについて定められています。この中で、初めて仮想通貨は、インターネットを通じて、不特定多数の消費者の間で、サービスや物品の購入や売却に利用出来る財産価値であると定義されました。つまり、支払い手段として認知された、という事です。
仮想通貨法の特筆すべき点として、仮想通貨取引行に対し、一定の規制を設けたことです。今後、仮想通貨取引所を運営するためには、登録申請書を内閣府に提出し受理される必要があります。また、取引所には、監査法人や公認会計士による監査が義務付けられました。年に一度、取引所は報告書を内閣府へ提出しなければなりません。
もう一つ重要な事は、仮想通貨取引所は、顧客の資産を「分別管理」しなければならない、という事です。取引所は、顧客から預かる資産を、会社の運営資金とは分けて管理する事が義務付けられています。これは万が一、取引所が破綻した場合でも、顧客の損失が最小限で済むようにとの配慮です。

このように、仮想通貨に対する法整備も進み、資産価値として可能性も見せ始めています。しかし、やはり、ビットコインの価格変動の激しさを思うとき、自身の資産を全て仮想通貨に替えて保有しようという人は限られてくるでしょう。

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